1「構成を出す? 出さない?」

そもそも映像制作において、プロダクション側が「構成」を書き、クライアントと内容をすり合せる工程は必須だと思います。

ですが実はNewsTVでは、、、


基本的に「構成」を出していません


NewsTVでは1500本以上の動画制作実績があり、動画はパターン化され、また過去の配信動画はサイトで公開されています。つまり類似案件を見つけることが容易です。


クライアントのご要望をしっかりヒアリングすることで、完全視聴率を高めるベストな構成が自然と組み上がります。その流れをご説明することで、ご納得いただけるケースが大半です。


結果、「案件決定」から「配信」までの大幅なスピードアップが可能です


構成の提出→すり合わせ→構成の再提出、etc.・・・という工程を思い切ってカットすることで、昨日決まった案件を今日撮影して、配信することも可能です。

「省エネ構成・・・」と今回のタイトルにありますが、動画制作での最大の省エネは「構成を出さずとも良い状況を作ること」と考えています。


とはいえ、クライアントによっては構成をお求めになることはあります。また、クライアントは求めなくともディレクターが頭を整理するために、自分用の構成を書いておくケースもあります。


ですがその場合でも、いわゆるCMの絵コンテのような工数がかかるものは書きません。

必要な流れを文字で説明した「テレビ番組のロケで使われるタイプの構成」をベースに「配信動画ならではのポイント」を取り入れたものを簡潔に書いています。


2「省エネで、わかりやすい構成を書くためのルール」

「時間をかけず」「わかりやすい」構成を書くためには、ルールが明確になっていることが大切です。

NewsTVではディレクター内でルールは共有、徹底されています。

その中の幾つかをご紹介しましょう。


ルール①「強い情報」から順番に登場させる


配信動画はテレビ番組などとは違い、動画の途中で視聴者が流入することは一切ありません。

つまり冒頭が視聴者数のピークで、そこから人数は減っていくのみです。

ですので、最も強い、ヒキのある情報を冒頭から惜しみなく使うことが鉄則になります。

これはカット一つにしても同じことが言えます。

最も力のある映像やコメントは冒頭に持ってくるべきです。4コマ漫画で言えば、最後のコマが冒頭で良いのです。


ルール②簡単な言葉だけを使う


コメントやテロップに専門用語や横文字など、特に意味もなく難しい言葉を使うと視聴者は離脱します。

子供からご年配の方まで、簡単で理解しやすい言葉を中心に書くことが大切です。

どうしても専門用語を使わざるえない場合は「●●とは簡単にいうと・・・」「ざっくりいうと・・・」など、わかりやすく言い換えることで離脱を防ぐことができます。


ルール③一文は短く、主語も短く


インタビューコメントや説明テロップは、一文が短い方が視聴者に負担がかかりません

また主語を早く言う(短くする)ことも大切です。例文で考えてみましょう。


A:「紀州みかん」は旨みと甘みと酸味が絶妙にマッチし、トロトロでコクのある美味しさが特徴です。選別まですべて手作業で行っています。

B:旨みと甘みと酸味が絶妙にマッチし、トロトロでコクのある美味しさが特徴の「紀州みかん」は、選別まですべて手作業で行っています。

(なぜ急にみかんの話なのかと言うと、3歳の息子がそばで紀州みかんを食べているからです。)


AとBの2文を比べると内容は一緒ですが、Aは主語が文頭に、Bは途中から出てきます。

これを映像化したとき、Bのコメントは「紀州みかん」に至るまでの数秒間、視聴者は主語がわからず、何の話をしているのかわからない間が生まれます

私は個人的にこの秒数を、コメントの死亡時間と読んでいます。


「死亡時間」が散り積もると、自然と頭に入ってこない映像になるため、離脱しやすい傾向があります。

ですので、主語はできるだけ修飾語を削って文頭に出す。これもルールの一つです。



ちなみにNewsTVでは構成の「形式」「フォーマット」はディレクターが自分のやりやすい形で好きに書いてます。

しかし、構成の内容を「わかりやすく視聴者に伝えるためのルール」は徹底しています。

そうすることで、質の高い構成を短時間で書くことができるのです。

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